top of page

そーだ、廃油ストーブを作ろう(最終章)

世の中に廃油ストーブの記事はたくさんありますけど、

完全燃焼のさせ方について核心をついたよーな記事が

あんまりないよーな気がしたので

僕が書いてみようかなぁ…と思いましたとw

こんにちは。

店主です。

そうなんですょ。

僕自身が廃油ストーブで完全燃焼させたくって

いろいろ作ったけど青い炎で燃えるまでって

けっこう時間と試行錯誤が必要だったので

これから作ってみようかな…な人には

なるべく近道な情報があった方がなぁ…って思うのですょ。

ま、

溶接機片手に試行錯誤が楽しいんだから

楽しみ取らないで

…な方には余計なお世話なんですがw

それではいってみましょう。。

まず、

廃油ストーブの炉の下から上までを

3つのパートに分けて…

1【気化層】

いちばん下の溜まった廃油が気化するところ

2【1次燃焼層】

気化した廃油ガスが酸素と混ざって

それでも本格的な燃焼反応にはなってない…よーなところ

3【2次燃焼層】

酸素混入済みの廃油ガスがいよいよ十分以上の酸素と混ぜられて

完全燃焼するところ

僕が思うに

廃油ストーブの設計でいちばん難しいのは

2番目の【1次燃焼層】で、

設計でいちばんムズかしぃ…ってよりは

燃焼設定の全てなんじゃないか…くらいでもあるのです。

まず、

1次燃焼層は「燃焼」って言う名前をつけましたが

必ずしも「燃焼」させる必要はなくて

1【気化層】で気化した廃油ガスに少しずつ酸素を混ぜていくところだと思ってます。

気化層で気化した直後の廃油ガスは濃度100%

酸素なんて1ミリも含まれてないので

そのままでは全く燃えません。

そこに酸素を加えると燃焼反応が可能で「燃える」のですが、

100%の超濃い廃油ガスにいきなり大量の酸素をウリゃっ…ってブッかけると

ウマく混ざってくれないってのが問題なのですょ。

麺を自分で作ったり

ケーキ自分で焼いたりする人はイメージしてもらいやすいかもしれません。

そう、

いきなり2種類の物体を均一に混ぜるのってすんごく難しくって、

大量の粉に大量の水分をいきなりぶっかけたら

まず間違いなく「ダマ」になっちゃいますよね。

ケーキだの麺だのだったら

ダマをキレイに切り刻んでまた周りの粉と時間かけて混ぜれば

最終的に均一な生地になるかもしれませんが、

燃料とガスは混ざったところから

正確に言うと燃料に対して酸素の量が少なくても

燃焼反応が維持できる条件の中に入ってしまえば

どんどん燃焼反応が進んでいってしまうのです。

そうです。

燃料の量に対して酸素が少ない場所があるので

これが不完全燃焼でございます。

真っ黒なハイドロカーボン、通称ススがドバドバ出るし

酸素が足りないから一酸化炭素がドバドバ出るし…で

キレイに燃えた感ゼロ…ですょね

ま、そンなふーにならないために、

燃焼反応が始まってしまう前に

少しずつ、そう少しずつ酸素を混ぜていって、

燃料と酸素が均一に…ギリギリ燃焼反応が始まっちゃうかもの濃さの手前まで持っていって

【2次燃焼層】で酸素と混ぜて素早く燃焼させる。

原理的にはこんなところだと思います。

じゃ、そのためには具体的にどーするか…って言うと、

【1次燃焼層】で酸素を供給し過ぎない。

供給する酸素の量はみなさん送風管に空ける穴で調整してると思うのですが、

送風管底面穴、それから一番下に開けるサイド穴をいきなり大きくしない。

ちなみに底面穴は僕の場合、

例えば100Φ前後の炉で1.9mm1個

300Φ前後の炉で3.2mm1個

です。

もちろん、廃油ガスの生成量は【気化層】の廃油貯めの面積やら

送風量やら炉の熱伝導率やらに左右されるので

参考値程度ではあるのですが、

最初は小さめの穴から始める。

これが最短、もしかしたら1発でウマくいく近道かもしれません。

傾向としては

【1次燃焼層】に供給する空気が多過ぎるほど、

火力は強くなりますが赤系の炎になり不完全燃焼寄りになります。

逆に少な過ぎる場合は、供給酸素量が少ないので灯油等で点火の際、

上方からの酸素供給が必要になりハンチング(火力が周期的に上下を繰り返す)

し易くなります。

で、燃料投下量とかで安定燃焼に持って行けたとしても火力は低めです。

なのでなので、

最初は小さい穴から初めて、

灯油でハンチングが収まるところくらいまで徐々に(できれば0.1mm刻み)

送風穴を拡大していって、炎がほんの少し赤みを帯びてくるギリギリで穴拡大を止めるのが正解かと。

ま、専門用語的なのを使って手っ取り早く言うと

λ(酸素/燃料)が0.4くらいで燃焼反応開始だとすれば

比較的大規模炉は1次燃焼層最下層で λ=0.35くらい

比較的小規模炉は同じく λ=0.4くらい

で設定してあげればよろしいのではないかと。

ちなみに底面穴付近にほんの少し赤い炎が出てきても

【2次燃焼層】に到達する手前でそれが消えて

2次燃焼自体が炎に赤みを帯びていなければ

その設定も正解だと思います。

むしろ廃油が受ける気化エネルギーが単位体積あたり小さめな

100Φクラスの小規模炉においては

1次燃焼で起きる消火寸前超リッチ燃焼も廃油の気化を促進してくれるので

単位規模あたりの火力の設定を大きめに取れるメリットがあります。

ま、底面穴から送風された直後は酸素量も多く

燃焼反応が起きたとしても、超リッチ環境(燃料>酸素)で

燃焼反応が継続できずに消化してしまえば

2次燃焼にはほとんど影響ないと思われますです。

ま、そのために

超リッチ環境で燃焼反応が継続しづらい事は必要ですが

例えば送風管下穴火炎を送風管に積極的にブチ当てて冷却

(送風管は触れないほど熱くても燃焼火炎に対しては十分冷たい)

してあげるとか

工夫次第で最下層火炎の恩恵だけを受け取る事も出来ると思います。

あ、これ前にブログにコツ…みたいな感じで書きましたね。

脱線&枝葉で読みづらいと思いますが

ま、論文じゃないんで勘弁してくださいm

続けます。

送風管底面穴設定があらかた決まって

ハイ出来上がり…では残念ながらなくて、

一次燃焼層には引き続きサイド穴の設定も含まれます。

なぜって?

【1次燃焼層】と【2次燃焼層】のエリア区切りは明確には存在しないからです。

逆に明確に存在させてしまっては

常に火力一定、燃料供給量一定でしか完全燃焼できない

若干残念な廃油ストーブになってしまうからです。

燃料供給に誰しも定油面フロートシステムが備えられるわけではないでしょうし、

定量ポンプが使えるわけでもないでしょう。

何より、点火時や消火時には擬似的に定常運転よりも低出力状態になるわけで、

定常運転の時にはキレイに完全燃焼してるけれども、

点火や消火の時は黒煙モクモクで超クサイのよねぇ…

じゃ、なんだかカッコ悪い。。

で、

火力が高い時には1次燃焼層としての酸素供給穴になり、

火力が低い時には2次燃焼層としても同様の機能を

サイド穴に持たせてあげれば

完全燃焼範囲が恐ろしくワイドレンジにもなり得る。

そぅ、

たまに廃油供給量を上げると

完全燃焼はそのままに

火炎面が上に上がってくる…

なんて記述を目にすると思いますがまさにアレが理想ではないかと思うのです。

具体的にサイド穴の設計はこうした方が…は

炉の形状、規模でだいぶ違うので一概には言えないですが、

僕が大事だと思うのはこれ、

1次燃焼層は

発生直後の超リッチな廃油ガスを酸素と

徐々に、静かに、かつ確実に混ぜる

だと思います。

徐々に…は

送風管を底面穴が廃油貯めに浸かってしまわないギリギリまで下げて

最下端から等間隔に

静かに…は

たくさんの小さめの穴から少しずつ

確実に…は

最低限のスワール(縦渦)が発生するよーに

ちなみに僕の場合は…

送風管に単管(48.6Φのパイプ)を使って

100Φ低ハイト炉の場合は

底面穴が廃油溜め油面上10mm 1つ

サイド穴油面上

30mm 1.0Φ 12個

50mm 1.0Φ 12個

70mm 1.2Φ 12個

90mm 1.2Φ 12個

120mm 1.5Φ 12個

150mm 1.5Φ 12個

300Φ高ハイト炉の場合は

底面穴 油面上30mm 1つ

サイド穴油面上 

60mm 1.2Φ 12個

110mm 1.5Φ 12個

160mm 2.0Φ 12個

210mm 2.5Φ 12個

260mm 3.0Φ 12個

310mm 3.0Φ 12個

以下、610まで等間隔

もちろんそこそこ肉厚のある送風管に対して

放射角に対してナナメに穴あけしております。

それと、

僕の場合は業務用シロッコファンじゃなくて

それよりかなり低風量の家庭用シロッコファン型卓上扇風機を使うんで

これでも穴径は大きめだとは思うので

大風量の送風機を使う予定の方は

これより小さめから始めてもらうのがイイと思います。

あ、

追加ですが、

炉に対して同じ高さのところは同条件にした方がイイと思います。

一回、スパイラルやったんですけど、

1次燃焼火炎が継続する範囲が大きかったような気がしてヤメましたw

もしかしたら

スワールに対してクロスする方向のスパイラルなら

結果良好かもしれませんけど…(試してないw)

1次燃焼層の設計のお話のハズだったんですが、

2次燃焼領域まで終わっちゃいましたね。

ま、そのくらい

2次燃焼領域( λ>1.0 )は

テキトーでもイイんじゃ…って事です。

λ>1.0領域の余剰空気は

内燃機関とかでは燃焼温度&燃焼速度を下げる方向で

度が過ぎると効率が悪い…なんてされてますが、

廃油ストーブにおいては

供給空気の容量*温度=だいたい一定になるので

ストーブとして最終的に排出される総熱量はいっしょw

つまり、

どーしてもある場所を高温にしなきゃ…とか、

排ガスは捨てちゃうから本体を高温にしたい…とかでない限り

失火するほどでなければ

ガンガン空気を供給してしまってイイんじゃ…って思います。

あ、

λ<1領域は違いますょ

不完全燃焼は完全燃焼よりもほんのチョットだけエネルギーが低い

&気化エネ損失多めなので

空気(酸素)が少なければ少ないほど…ではないですが

効率は確実に悪くなる方向です。

燃料ばか食いのターボ車と同じっすね

ブースト圧=炉規模なので出力は出るでしょーけど。

まとめ。

説明の順番は前後しましたが

テキトーにやってもなんとかなるサイドの送風穴の設定をまず決めてから

底面穴の拡大を徐々に試してくださいね。

特に送風管下の方のサイド穴は

1次燃焼領域が拡大すればするほど

送風管下穴の設定と密接に関係してきます。

ま、あれです。

いろんな火力に合わせて

1次燃焼領域の空燃比がいつもだいたい一定にできれば

大出力時も小出力時も、

はたまた点火時も消化時も、

煙い、臭いに悩まされない廃油ストーブができますよーなお話でした。

図が1個もないけど…

けっこう核心は盛り込めてるんじゃと思います。

ではでは。

まだタグはありません。
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page